1.遺産のほとんどが住んでいる自宅の場合
民法の改正により「配偶者居住権」が創設されましたが、「負担付きの所有権」と「配偶者居住権」等一般の人にはまだまだ
分かりにくい制度になっていますので、どのように遺産分割するかご自身の意思を明確に伝えておくことが重要です。
2.内縁関係や長男の嫁等の法定相続人以外に遺産を残したい場合
民法の改正により、子の配偶者が介護や看病などをしてくれた場合は特別の寄与分の請求をすることが出来るようになりまし
たが、寄与分の証明のため介護日誌が必要等、十分な遺産を残せない場合も有ります。また、内縁関係の場合は必ず遺言書の
作成が必要です。
3.法定相続分以外の割合で遺産を残したい場合
法定相続分以外の割合で遺産分割を希望する場合や財産を相続させたくない相続人がいる場合はご自身の思いを遺言書として
残してください。
4.家業の後継者を指定したい場合
事業の後継者を指定し、その方に事業の基盤である土地や工場及び株式などを譲渡したい場合は遺言書で意思を伝える事が重要です。
■公正証書遺言
遺言者から直接公証人が遺言の内容を聞き取り、公証人が書面に作成する方式です。内容の不備によって遺言が無効になることや、
偽造のおそれもありません。原本は公証役場で保管され、また相続開始の際に家庭裁判所の検認も要りません。 作成の際には2人
以上の証人が必要になります。
■自筆証書遺言
費用をあまりかけずに簡単に作成できる遺言書で証人が不要です。しかし表現や内容などがあいまいな場合は遺言が無効になる事
もあり、紛失や発見されないなどの保管の問題もあります。相続が開始したら自筆証書遺言は必ず家庭裁判所で検認を受けなけれ
ばなりません。
■秘密証書遺言
あまり利用される事は少ないようですが、遺言の内容を誰にも知られたくない場合に使われます。本人が作成し、署名、押印し、
封印後にそれが秘密証書遺言であることを公証人と2人以上の証人に証明してもらわなければなりません。自筆証書遺言と同じ
ように内容の不備で無効になる危険もあります。
遺言書はご自身の思いを残された家族に伝えるものです。せっかく作成した遺言書が発見されなかったり、家庭裁判所の検認を
受けずに開封したため無効になったりしては意味が有りません。